Never out of my sight


 戦いが、終わった。
 それは多分、時間にすれば呆気無い程の短さでしかない。だけど、刹那に詰め込まれた思いと流れた血の濃さが、その時間を永遠に見せていた。
 強さは表裏一体で、敵を振り払う一方で、護りたいものを傷付ける事もある。行き過ぎて我を忘れた強さは、他でも無く自分の弱さ。
 きっと誰もが、傷付いたり、後悔をした。誰もに、無くしたものと手に入れたものがあった。そしてそれでも時は進んで、生きている者には前に進む義務がある。それは自分だけじゃなく、周りに居る誰もや、もう進めなくなった誰かの為にも。
 そんな事が何となく解って、俺達は日常に戻った。


 冬休みが終わって、春休みまではまだ少し。所謂、学年末という時期に差し掛かった頃。
 いつものように俺と一緒に家を出た制服姿のルキアが、最初の曲がり角で立ち止まった。
「一護。すまぬが、私は今日は休むと教師に伝えておいてくれ。理由は何でも良い」
「は? 何だよ。何か用事でもあんのか? 今日、英語の小テストだぞ」
 追試に回されてもいいのかよ、と冗談で脅すと、露骨に顔を顰める。
「仕方が無かろう。朝方、尸魂界から急な呼び出しがあったのだ。彼方も落ち着いてきた頃だし、何か任務についての報告や申請が必要なのかもしれぬ。まあ、そんなに長くは掛からぬだろうし、第一、私は学校では病弱でお淑やかなキャラで通しているのだ。二・三日休んだ所で不審がられる事は無い」
「……つーか、お淑やかって言うのかアレ」
 どっちかっつーと、猫被りだろ。寧ろ詐欺だろ。何人の男がアレに騙されてると思ってんだ、オマエ。
 声に出さない部分も含めたツッコミをルキアは無視し、
「では、虚が出た時の為に石田達にもそう伝えておいてくれ。一応、十三番隊から担当の死神も派遣はされているし、私も遅くならぬように戻るつもりだが、万一の事があるからな」
「あー、分かった」
「では、頼んだぞ」
「へいへい」
 拘りも無く身を翻し、いつもとは違う方向に角を曲がる。駆け足で遠ざかって行く小柄な後姿を見送って、俺も歩き始めた。
 ――…つーかアイツ、学校行かねえくせに、さも当然のように遊子のお手製弁当持って行きやがったよ。食い意地の張ったヤツめ。
 軽く思った俺は、気付いて無かった。
 当然のように俺の家に居候し、当然のように学校に通い、当然のように一緒に虚退治をする死神の存在を、その特異な現実を、自然で当たり前のように考えていた自分自身に。


 世界は廻る。時は巡る。ほんの些細な事柄が、揺るがないと見えた何かを容易く崩し、変わらない筈だった何かを永遠に変えてしまう事もある。
 これまで生きてきた年月に比べれば、僅かな期間。一年に満たない期間で、私の人生は何度変化を余儀なくされただろう。
 柄にも無く回顧するような気分になったのは、自分が空座町担当の駐在任務を言い渡された時の事を脈絡も無く思い出した所為だった。あの時とは違い、目の前に居るのは浮竹隊長で、広げられた書類の横に湯呑みが鎮座しているのだが。
「――……ご報告する事は以上です。問題が無いようでしたら、確認印を頂いて、総隊長殿に提出を致しますが……」
「ああ、これで大丈夫だよ。一護君も良くやってくれているみたいで、良かった」
「はあ……力ばかりで、まだまだ未熟ですが。本人なりに自覚が出てきているようです」
「そうか」
 笑って、湯呑みを持ち上げながら私にも勧めて下さる。恐縮しながら啜ると、湯の温度を適温に落として淹れた玉露の甘さが口に広がった。
「そうそう。空座町についてだけど、此方としても少し介入の形態を変えるかもしれない。と言っても、向こうからすれば大した違いじゃなさそうなんだが……」
「形態、ですか?」
 首を傾げる私に、浮竹隊長は、そんな重大な事では無いと言う風に手を振ってみせた。
「当面の危険は脱したと言っても、空座町が重霊地である事には変わり無い。この先何があるかは分らないし、霊的な影響を受け易いと言う意味からも、あの町に住んでいる人間の魂魄保護には特に注意が必要だ。管轄としてはうちの隊だけど、十三番隊だけでは手が回らないという事で、空座町に関しては他の隊との共同管区扱いになると思う。まだ正式決定はされてないんだが、六番隊が候補に挙がっているよ。多分、このまま決定するんじゃないかな」
「六番隊が……」
 では、一護と恋次の腐れ縁も、何だかんだで続いて行くらしい。また賑やかな事だ、と内心で苦笑する。
「というか、そのような事を私などにおっしゃっても良いのですか? 正式決定がまだという事は、機密事項では……」
「ああ……まあ、そうなんだが、朽木だったら大丈夫だよ。第一、あの時承諾してくれていれば、今頃、朽木はこの隊の副隊長だった訳だし。今の朽木には、平隊員なんて登録上だけの話だ」
「は、いえ……」
 何気ない発言だとは分かっているが、恐縮する。
 崩玉。藍染によって奪われ、破面、そして十刃を創り出す為に使われた物質。浦原によって私の魂魄に封じられていたものが、他でも無い私自身の力を元に創造されたものだったと知れたのは、藍染達や破面との戦いの終盤。事象を拒絶する井上の力によって、物質としての形状を取る以前に戻された崩玉の力は、そのまま私の中に戻った。その事で、単なる平隊員でしかなかった私が、実力からすれば隊長格という事になってしまったのだ。
 そして、戦いが終わった後、そんな私に来たのは、所属する十三番隊の副隊長就任の話。尤も、正式な辞令では無く、今のように本当に茶飲み話の延長のような申し出だったのだが、
「……あの、その節は本当に申し訳ありません」
「あ、いや、責めている訳じゃないんだ。只、残念だったと思っているだけだから。それに考えてみれば、いきなり副隊長では、君が承諾してくれたとしても白哉を納得させるのが一苦労だっただろうしな。だから、気にしないでくれ」
「は……」
 未熟な自分には身に余る光栄だと思いこそすれ、数多い先輩方を押し退けて副隊長に就任するなど私自身には不可能だった。第一、十三番隊副隊長の座が長く空いたままなのは、未だに多くの隊士が海燕殿を慕っている為。その座に新たに就くのが海燕殿を手に掛けた私では、複雑な思いを抱く者も出て来るだろう。それを抑え、或いは全て受け入れるのも、今の私にはまだ早い。
 それに、私は未だに急激に高まった力を抑える事に神経を使い、力を解放させるのには躊躇いがある。多分、完全に力を使いこなすようになるにはもう少し時間が必要だろう。力に引き摺られる、或いは力に使われているようでは、戦いに身を置く者として話にならない。
 だから、虚の出現率も出現する虚のレベルも高い空座町の死神代行補佐という職務は今の私には合っていた。周囲の魂魄への影響も考えて力を統御するのは、先の事も考えれば必要不可欠な能力だ。まあ、放出する力の制御に全くの無頓着という迷惑な餓鬼もすぐ近くには居るのだが。
「あの……それで、今回の呼び出しの理由というのは以上でしょうか?」
「ああ、すまない。そうだったな。一応、空座町に関する事項は以上で終わりだ。そして――この先は、朽木個人に対する通達になる」
 湯呑みを脇に置き、次いで向けられた静かな視線に、思わず私も姿勢を正す。だが、何か予感が在ったとしても、この時点では、それは漠然としたものでしかなかった。
 意識したものだろう、淡々とした様子で、浮竹隊長は口を開いた。
「これは正式な決定事項及び通達だ。残念ながら当該の者が誰であろうと、当人を含めた一切に拒否権は無い。その上で、君への辞令を通達する」
 告げられる言葉。驚愕を隠し、頭を垂れて、私は己への辞令を聞く。
 拒否権は無い。つまりは、これが定められた次の未来。
 ――……あ奴に、何と言おう……。
 ぼんやりと、曲がり角で別れた制服姿の奴の姿を思い浮かべた。


「ただいま……って、アレ? 何だよ、ルキア。もう帰ってんのか」
 リビングのソファで雑誌を読んでいる居候の姿に、俺は意外なものを見た気分になった。
「二・三日留守にするんじゃなかったか?」
「ああ、思ったよりも早く済んでな。出掛けに遊子が、今夜は鍋にするつもりだったと残念がっていたから、思い切って戻って来たのだ」
「イヤ、ソレが理由かよ……」
 やっぱ食い意地張ってんじゃねえか。と、言ったら殴られそうな事を考えながら、明かりの消えたキッチンを見遣る。
「遊子と夏梨は?」
「二人して夕食の買出しだ。スーパーのタイムセールで買う物があるらしい」
「へえ……。あ、そうだ。コレ。宿題のプリント、持って帰ってやったぜ。来週提出だとさ。今度は早目にやっとけよ」
「分かっている。石田や井上、茶度はどうしていた?」
「あいつらか? 別に普通だけど……って、ああ、虚なら一体出たぞ。即行で倒したけどな」
「被害は出なかったであろうな?」
「出すかよ、俺が。相手は雑魚だぞ?」
「そのように甘く見ているといつか怪我をするぞ。第一、そろそろ霊力の放出を抑えるかどうかせぬか。この町に出現する虚の半分は貴様の所為で寄ってきているのだと、いい加減に自覚しろ」
「へいへい、分かったよ」
「真面目に聞いているのか、貴様!?」
「あー…取り敢えず、着替えてからな」
 呆れたルキアが、溜息混じりに追及を諦めるのを知っているから、適当に逃げる。案の定、わざと時間を掛けて部屋から下りて来た俺に、ルキアはその話題を向けなかった。
 帰って来た遊子と夏梨を迎えて、夕食の準備を手伝いながらテレビを見て、最後に親父を加えてキムチ鍋をつつく。そうして、いつものような一日が過ぎる。
 本当に、次の日も、そのまた次の日だって、いつも通りだった。
 だから――気付かなかったんだ。この日々が、どれだけ大切だったかなんて。そんな事。


 休日。だが、世間が休みだろうが何だろうが、虚は構わず出現する。今更のように実感しながら、俺は斬月を振り下ろした。
 一撃必倒。代行を始めた当初、散々ルキアに五月蠅く言われた事も、何無く出来るようになっている。こういう雑魚が相手の場合に限るが。
「一護! どうだ?」
「最初に逃げられたけど、追い付いて一発で終わった。オマエは?」
「訊くまでも無かろう」
 じゃあ、テメエも訊くなよ。と言い返したかったが、止めておく。
「……ったく、出て来るにしても、時間と場所を考えろよな。こっちは外出中だっての」
「だから私に任せろと言ったのだ」
「二ヶ所で出てんのに、俺が行かなくてどうすんだよ」
「駐在の死神が居るだろう」
「あー、あのアフロのおっさんな」
「貴様、まさか、まだ名前を覚えておらぬのか」
「ウルセーよ。テメエだって覚えてなかったじゃねえか」
「いや、あれは……」
 適当に言葉を交わしながら宙を飛ぶ。虚の逃げ足が予想外に速かったせいで、元の場所から随分離れてしまっている。
 俺としては本気で珍しい事に、今日は他の連中と外で集まっていた。企画したのは啓吾。参加者は、デートの予定が無かったらしい水色。部活が休みのたつき。たつきが居るせいか、啓吾のしつこさが勝ったのか、誘いに乗った井上に、啓吾に泣き付かれたチャド。俺とルキアに、何故か居る石田。奇しくも、俺やルキアの正体を知ってる連中ばかりが集まっていた。
 まあ、知られている分、魂魄の抜けた俺の身体やら、チャッピーの入ったテンションと口調の違い過ぎるルキアに関して気を使わなくて済む。多分、今頃は、駅前の広場で上手く周囲の目を誤魔化しながら俺達を待っているだろう。何でも、入手した遊園地のアフターシックスの入場券を利用して、主にパレードの時間を狙った人気アトラクションの制覇を目指すのが今回の目的――らしい。啓吾が言うには。
 ――そういやコイツ、遊園地なんて行った事無ぇよな……。
 取り留めも無くルキアの事を思った所で、他でも無い本人に声を掛けられる。公園らしい、木に囲まれた広い場所に向かって下りて行くルキアを、俺はやや遅れて追い掛けた。
「何だよ。どうかしたのか?」
「いや……一応、貴様には最初に伝えておこうと思ってな」
「伝えるって……何をだよ?」
「……後で貴様の所にも知らせが行くと思うが、昨日、正式決定したので言っておく。この空座町は重霊地としてもかなり特殊な部類に入る。虚の出現率の高さにしても、貴様のような死神代行や石田のような滅却師。井上や茶度のように特殊な能力を持った人間や、死神や虚が見える程の霊力を持った人間の存在もそうだ。その為、本来ならば十三番隊の管轄であったこの町を、六番隊との共同管理地域にする事が決まったのだ」
「白哉や恋次のトコか」
「ああ、だから、基本的にお前の立場は変わらぬ筈だが、上の方の命令系統が少しばかりややこしくなる。暫くは調整で色々とあるだろうが、六番隊では当面の責任者が恋次だという事だし、悪いようにはならぬと思う。詳細はこれから伝えられるだろうが、一応言っておくぞ。それから……――」
 不意に、ルキアは言葉を切った。
 コイツにしては珍しく、続ける先に迷っている様子に、俺は眉を顰めた。
「それから、何だよ?」
「――私は……明日付けで、貴様の――死神代行の補佐を退任し、近日中に十三番隊から転属する」
 告げられた事実が、俺の横を通り過ぎて行った。
「…………え?」
 驚きで思考が麻痺する、なんていう感覚は、いつ以来だろうか。
「先日、私に辞令が下った。十三番隊隊士・朽木ルキアを、王属特務――零番隊の所属に任じる。十三日の内に、職務の引き継ぎ及び所定の手続きを完了し、所属部隊に合流せよ――と。正式な命令だ。隊士である以上、私に拒否権は無い」
 知っている単語も、聞き齧っていた単語も、全てが知らないものに聞こえた。
「だから、貴様や、この町の者と会うのも、これが最後になるかもしれぬ」
「何、で……」
「直ぐに伝えなかったのは悪かったが、私も実感が無くてな。それに、殊更気にされてもと思ったのだ。家の者達には、今夜にでも伝えるつもりでいる」
 明日の夜には、此方を発つよ。
 そう、伝えられた事実に、俺が何かを言えるだけの隙間は無かった。全てが決まった事。俺にも、ルキアにも、異議や拒否を口にする権利すら与えられない事項。それだけが、分かった。
「王属、特務……」
「ああ。浮竹隊長も、直接ご存じなのは先々代の十二番隊長が昇進されて所属になった事ぐらいだそうだ。隊長格を経ずに平隊員から抜擢されるというのは、多分異例だろうと」
「けどオマエ、前に副隊長の昇進蹴ったって……」
「あれは内々の話だ。だが、今回は正式な辞令だからな。その時点で、私の意見がどうのという次元の話では無くなっている」
 事務的に話すルキアの声が、俺の思考をかき回す。何を言えばいいのか、それ以前に、何を思えばいいのかもよく分からない。
「……ルキア」
 ――居なくなるのか? オマエ。
 訊いても仕方の無い問いを、当たり前だろうと自答する。他に何か言うべき事も、言いたい事もある筈なのに、それを上手く掴めない。
 言いあぐねて沈黙してしまった俺に何を思ったか、ルキアはいたって明るく表情を変えた。
「まあ、何だ。私個人の事はともかく、これからは尸魂界の方から派遣される人員も増えるだろうし、貴様も楽になるぞ。何と言っても、三年になれば受験生なのだろう? そうなれば、深夜や授業中に気軽に虚退治という訳にもいかぬしな。良かったではないか」
 言うだけ言って、踵を返す。皆の所に戻るぞ、と軽く言う小さな背中を、俺は睨んだ。
 ――止めろよ、そういうの。空元気だって知ってんだよ。こっちは。
 責めたい訳じゃない。誰にもどうしようも無い事で、仕方の無い事だ。だけど、あんな顔をして欲しくは無かった。
「ルキア……ッ!」
 驚いて振り向いた、紫紺の瞳を睨むように見詰める。
「死ぬなよ?」
 自分でも意外な言葉が口から零れて、それから初めて腑に落ちた。
「俺が死んで、アッチに行って、そんで死神になるまで、オマエは絶対死ぬんじゃねえぞ?」
 嗚呼――…、
「そうしなきゃ、俺が困るんだよ」
 …――そうだ。
「俺は、オマエに借りがあるんだ。例えオマエにとっちゃ何でも無いような事でも、俺にとってはデカイんだよ。それを俺はまだ、返し切れてねえ。俺が向こうで正式な死神になっても、ルキアが生きてなけりゃ、俺が借りを返せねえ。だから、それまで。俺がオマエと肩並べられるようになるまで――死ぬなよ。ルキア」
 暫しの沈黙。
 そして、ゆっくりと、首肯が返った。
「ああ…――分かった」
「本当だな?」
「ああ。本当だ」
「約束しろよ?」
「当然だ。何度も言わせるな」
 念を押す俺に、いつもの不敵な笑みが応えた。
 不意に、思った。
 きっと何処に行っても、何処に居ても、ルキアと俺は……――俺達は、繋がっていられる。
「なあ、ルキア」
「何だ」
「…………色々、ありがとな」
「それは、此方の科白だ」
 ふと、小さく笑った顔が印象に残る。
「有難う。一護」
 静かな視線が、強く俺を射抜いた。
「先で、待っている。お前が追い付いて来るまで、ずっと」
 だから貴様も、簡単に死ぬな。
 多分、それが一番言いたかったんだろう。コイツはいつも、そうだった。俺があんな約束をさせたのも、結局はルキアを見てたから。
「解ってるよ」
 生きる事。背負う事。オマエが、戦う意味と一緒に教えてくれた。
「――…そんじゃ、行くか。他の連中にも、挨拶しなきゃなんねえだろ? 黙って行ったりしたら、アイツら怒るぞ」
「ああ、そうだな」
 風はまだ冷たくて、近付いている筈の春の気配にも気が付かなかった。だけど、間違い無く季節は巡っている。

 そうして、そんな風にして、ルキアは――俺の運命を変えて、何もかもを教えてくれた一人の死神は、冬と共に俺の前から去って行った。


    ※


 春が来て、俺達は二年に進級した。
 何事も無く過ぎて行く日々が逆に意外で。だけど多分、戸惑っている俺が可笑しいんだと納得させる。
 ルキアが居ない。それも多分、有り得た日常の一つの形。だから、俺はその日々を精一杯生きようと思っていた。あんな風に交わした約束を、ルキアは絶対に破ったりしない。それなら、俺もアイツに胸張って伝えられるような人生を生きなきゃならない。半分は自然な思いで、もう半分は意地。
 恋次や、白哉ですら詳細を知らないという、ある意味で別の世界で任務に就いているルキアの消息は、全く聞こえて来なかった。それでも俺は、ルキアは無事だと、元気だと信じていた。俺が生きている限り、ルキアは生きていて、俺が追い付く『いつか』まで元気でいる。
 それは約束で、只の願いで、だけど俺にとっては真実だった。
 いや、俺だけじゃない。俺とルキアが、俺達二人が信じている。だから、真実だった。
 妹達に声を掛け、鬱陶しく絡んでくる親父を適当にあしらう。ルキアの居ない道を一人で学校に向かう俺に、日増しに濃くなる木々の緑が影を落とす。今朝は、代行証は鳴らない。
 俺が過ごすのは、そんな日々。
 忘れていた訳じゃない。それでも、そこそこ平和な日々の中では実感からは程遠かった。だから、平穏な日々の裏で、世界は大きく動いていた事。それを――俺は、後になって厭になる程思い知る事になる。

 巡る季節は、春から初夏へ。
 ルキアが俺の部屋に現われて、俺の世界を変えたその日から、一年が経とうとしていた。











…で、『破面篇』から『王属篇』に続く…とかだと良いなという≪妄想≫。ちなみに続きません(重要)
あと、全て妄想の産物ですので、2009年3月29日時点での事実はほぼ含まれておりません。念の為。
しかし、ルキアが崩玉の力で隊長格にレベルアップするとか、王属特務になるとか…無理ですか?
これまでの設定からして、出来無くは無いですよ???(←誰に訊いてる)
これがオフィシャルで来たら…褒めてやって下さい(主に私の妄想力を(…)
ちなみに、オンリーでお話させて頂いた某方の、「次は『王属篇』とかが来ないかな〜と思ってるんですけど」という短い発言から派生しました。
これでルキアの身に何か有って、それを知った一護が仲間と乗り込む。
…で、相手が相手なだけに、vs.護廷十三隊再び、とか護廷隊内部分裂とか…面白くないですか?
BLEACHの原点(一護とルキアの物語)に戻ってもいいと思います。
これだと十三隊を切らなくていいからファンも喜びます。
破面の生き残りとか、全く無関係じゃないから介入できます。
という訳で、イチルキとは言わないから是非ともルキアメインをお願いします(本気)

…というアレな発言をした後で何ですが、1万HIT有難うございました!!
(作品のフリー配布は終了致しました)



inserted by FC2 system