葉を付けた枝。それを折るのは、枯れた枝とは勝手が違う。
大きくしなって辛抱強く圧力に耐え、漸く折れても尚も幹から離れ難い。
分かっていたから、刀で斬った。
手に落ちたのは、黄葉の枝。
乾いた中に、甘い匂い。
この葉を散らさず、手にしたかった。
この年最初の、目を引くほどの鮮やかさ。
暮色が移り、速やかに昼の明かりが消えていく。
東の空は、未だに静か。
会いに行くのはまだ早い。
遅過ぎるのは問題だが、早過ぎるのも考えもの。
左手の中に目を落とす。
残っていても、言い訳がきくのは執務室。
その発想も、どこから来たのか良く分かる。
少し笑って、修兵は先に見える幾つもの屋根に目を向けた。
あそこに行くのは、まだもう少し。
満ちかかった月が、空の上へと昇る頃。